コレラは世界中で大流行し、数百万人の命を奪った伝染病です。最近フィリピン、パキスタン、バングラデシュなどのアジアの一部地域やアフリカの国々で発生しており、海外旅行の際に注意が必要な状況です。今回は、コレラの症状や原因、ワクチンについて説明していきます。
コレラとは?
コレラは、コレラ菌に感染して発症する病気を指します。
日本では感染症法において3類感染症に指定されています。急性の下痢を引き起こし、重度の脱水が進行して死亡に至ることもある伝染性の感染症です。初夏に始まり、真夏にかけて流行し、晩秋まで続くという特徴があります。
コレラの感染原因は?
コレラ菌は、排泄物や嘔吐物で汚染された食べ物や水を通じて感染し、汚染された手で食べ物を調理したり食事をする際に感染することがあります。
生または十分に加熱されていない海産物を通じて感染することもあります。感染症状を引き起こすには1億~100億個程度の大量の菌が必要ですが、胃酸分泌に問題がある患者や胃切除術を受けた人は、少ない菌数でも感染することがあります。海外旅行者や労働者の増加に伴い、海外流行地域からコレラ菌が国内に流入するリスクがあるため注意が必要です。
コレラの症状は?
コレラに感染すると、通常数時間から5日以内の潜伏期間を経て症状が現れます。
お腹の痛みが比較的軽く、嘔吐が始まり、米のとぎ汁のような水様の下痢が突然発生します。過度の下痢によって循環器系の虚脱症状やショックが現れることがあります。重症の場合、発熱や腹痛が伴うこともあります。コレラに感染すると、激しい下痢により深刻な脱水症状が引き起こされるため、適切な治療を行わないと死亡のリスクがあるため、迅速な治療が必要です。
コレラの治療法は?
コレラ菌は、便の検査を通じて菌の培養および検出で診断できます。
血液検査で腎不全や電解質異常などの異常が伴っているか確認して診断します。
コレラは治療を開始してから通常1週間程度で回復します。
患者に点滴を投与して失われた水分と電解質を補給し、体内の電解質バランスを整える治療を行います。嘔吐がなく、重度の脱水が伴わない場合には、経口での水分補給が可能であり、抗生物質を投与すると症状の進行を遅らせることができます。
コレラワクチンと予防法は?
現在までのところ、コレラワクチンはコレラに対する免疫力の形成が低く、持続期間も短いため、ワクチン接種は推奨されていません。
国内ではコレラに曝露されるリスクが低いため、主に海外でコレラが流行している地域や衛生状態が悪い地域で勤務する人や、難民キャンプや救援活動に参加する人などを対象に考慮されます。それ以外にコレラ菌を扱う研究所の従事者が予防接種の対象となることがあります。
コレラに対する最も効果的な予防法は、汚染された食品や飲料水を摂取しないことです。
水は必ず沸騰させて飲み、食品は十分に加熱してから摂取し、個人の衛生管理を徹底することが重要です。特に食品を扱う前や排便後には必ず手を洗うようにしましょう。
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