14世紀ヨーロッパで数億人の命を奪ったとされる人類最悪の伝染病「黒死病」が2023年、中国で発生しました。中国の保健当局によると、2023年8月7日に黒死病の患者が最初に報告されたとのことです。現在、当局は密接接触者を隔離・管理し、異常は発生していないとしています。黒死病とは何か、原因、治療法について詳しくお知らせします。
黒死病とは?
黒死病は、ペストとも呼ばれる流行性感染症です。
人類史上最も大きな被害をもたらした伝染病で、14世紀(1346〜1353年)にユーラシア西部地域で流行し、少なくとも数千万人から数億人の命を奪ったことで知られています。当時、ヨーロッパ、中東、北アフリカなどの地域人口の60%が黒死病により死亡したと記録されています。その後、医学の進歩により抗生物質や手洗いなどの個人衛生の重要性が強調され、世界の大部分の地域で消滅しましたが、依然としてアジア、北米、アフリカでは散発的に発生しています。
今回黒死病が発生した中国の内モンゴルは、黒死病が頻繁に報告される地域で、今年だけでなく2019年と2020年にも黒死病が発生しました。
国内では感染症統計が収集されて以来、発症例はありませんが、周辺国で発生しているため、状況を注視しています。
黒死病の原因は?
黒死病の原因菌はペスト菌です。
ペスト菌に感染したネズミに寄生するノミがネズミの血を吸う際にペスト菌に感染し、そのノミに人が噛まれるとペスト菌に感染します。まれに肺炎型黒死病では、人から人へペスト菌が伝播することがあります。
黒死病の症状は?
黒死病は症状により3つのタイプに分けられます。
1. 腺ペスト
通常2〜6日の潜伏期を経て、悪寒、38度以上の発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛などの症状が現れます。
症状発生後24時間が経過すると、ペスト菌が侵入した部位(主に感染した動物やノミに噛まれた部位)のリンパ節に痛みが生じ、対応が遅れると疾患が急速に悪化し、重篤な場合は死亡に至ることがあります。ただし、治療すれば症状は速やかに改善します。
2. 肺ペスト
肺ペストは最も重篤な形態の感染症です。
潜伏期間は3〜5日程度で、悪寒や発熱、頭痛などの症状が伴います。その後、速い呼吸、呼吸困難、咳、胸痛などの呼吸器症状が現れ、症状発現から2日後には血痰や呼吸困難などの致命的な症状が発生します。肺ペストは24時間以内に適切な治療を受けないと回復が困難です。
3. 敗血症型ペスト
敗血症型ペストは腺ペストや肺ペストが敗血症に進行するか、ペスト菌が血行性に感染すると発生します。
統計によると、腺ペストの20%が敗血症型ペストに進行します。初期症状は発熱、嘔吐、腹痛など一般的な敗血症と似ています。ただし、疾患が進行すると出血性斑点、傷部の出血、播種性血管内凝固症候群による末端の壊死などの症状が現れます。
黒死病の診断方法は?
黒死病流行地域を旅行して帰国後に黒死病に似た症状が現れた場合、必ず疑う必要があります。黒死病が疑われる場合、病院に行って、
血液やリンパ液、痰などを採取してペスト菌の培養検査を行い、ペスト菌が培養された場合、確定診断
ができます。
黒死病の治療法は?
ペストは治療しないと数時間から数日以内に少なくとも60%の患者が死亡する疾患で、早期診断と治療が非常に重要です。
病院に行くと抗生物質の投与が行われます。抗生物質の投与だけで死亡率を15〜20%に減少させることができます。
抗生物質はキノロン系、アミノグリコシド系の一部、テトラサイクリン系などが効果的で、いずれも多くの病院で一般的に使用される抗生物質です。
黒死病の予防法は?
黒死病を予防するためには、外出後の手洗いなど個人衛生を徹底的に管理し、野外活動時には長袖長ズボンを着用して露出を最小限にすることが重要です。
黒死病流行地域を旅行する際には、以下のように個人衛生に特別な注意が必要です。
黒死病流行地域旅行時の予防法
- マスクを必ず着用する
- 公衆トイレの使用を避ける
- 食事は必ず加熱して摂り、野生のげっ歯類は食べない
- ノミやシラミに刺されないよう注意する
- 野生動物との接触を避ける
- 帰国後に症状が疑われる場合は病院に行く
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