子宮外妊娠は妊娠関連の死亡原因の約7%を占めており、非常に危険な疾患です。子宮外妊娠の症状は生理異常や流産初期の症状と似ているため、初期に気付きにくく治療が遅れてしまいます。今回はそんな子宮外妊娠に関する情報を詳しく整理しました。
子宮外妊娠とは?
子宮外妊娠とは、受精卵が正常に着床する場所である子宮内部ではなく、他の場所に着床する妊娠のことを指します。
ここでいう他の場所には、卵巣から卵子を子宮まで運ぶ卵管、子宮を支えるさまざまな靭帯、腹腔、子宮の入り口である子宮頸部などが含まれます。
多くの場合、卵管で発生する卵管妊娠が確認されますが、卵巣、腹膜、子宮頸管の妊娠もまれに見られます。子宮外妊娠は産婦人科で最もよく見られる緊急疾患の一つで、全妊娠の1〜2%に相当します。
子宮外妊娠の原因は?
子宮外妊娠の最も一般的な原因は「卵管の損傷」です。
卵子を子宮まで運ぶ卵管に炎症や感染による損傷がある場合、または卵管手術後に発生する物理的な卵管損傷
などが主な原因として挙げられます。卵管妊娠は子宮外妊娠の95%に該当するほど一般的です。このほかにも、卵管の側腔に胚が閉じ込められることや子宮への進行が妨げられることでも発生することがあります。
- 骨盤感染による炎症
- 手術による卵管の損傷
- 避妊のために子宮内避妊具を挿入した場合
- 不妊手術
- 過去の開腹手術経験
- 流産
- 不妊
- 卵管の非炎症性疾患
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 薬物や喫煙
子宮外妊娠の症状は?
子宮外妊娠の症状は非常に多様です。
子宮外妊娠の代表的な初期症状は鈍い下腹部の痛みと少量の出血です。
多くの場合は
流産初期の症状
や、
ただの生理
として見過ごしてしまいます。しかし、着床した受精卵が次第に大きくなることで
卵管破裂、腹腔内出血、膣出血
が起こり、これとともに
めまいや立ちくらみ、首や肩の痛み
を訴えることもあります。
多くのケースで
最後の生理日を基準にして4週間後から不規則な膣出血
が見られ、半数以上の患者が
乳房の痛みや吐き気
を訴えることもあります。体温の上昇はまれで、頻脈(速い脈拍)は一般的に見られる症状です。
卵管破裂や卵管流産が起こると、突然下腹部に激しい痛みとともに膣出血が発生します。顔色が青白くなり、脈が速くなり、冷や汗が出るか呼吸困難になることがあります。
病気が進行すると、腹腔内に大量の出血が起こり、ショック状態に陥る可能性があります。
大量の出血が一度に発生すると、妊婦が命を落とす可能性があるため、出血がひどい場合には緊急手術などの応急処置が必要です。
子宮外妊娠の治療方法は?
子宮外妊娠の治療方法は、薬物療法と手術療法の二つに分かれます。
両方の方法が効果的ですが、治療法の選択は患者の臨床状態によって異なることがあります。
子宮外妊娠が初期に発見され、卵管がまだ破裂していない場合は薬物療法を試すことができます。
しかし、失敗する可能性もあるため、専門医と相談の上、慎重に決定する必要があります。
薬物療法を実施できない状況では、手術療法を通じて治療を行います。この場合、開腹手術または腹腔鏡を用いて
卵管内への薬物投与、卵管切除術、卵管切開術
などで治療します。子宮外妊娠が遅れて発見され、卵管が破裂している状態では緊急状態となるため、診断と治療が迅速に行われる必要があります。この場合は卵管を完全に切除する手術が行われます。
以前に子宮外妊娠の病歴があった女性は、また子宮外妊娠になる可能性が非常に高いです。
過去に骨盤内炎症や手術などで卵管が健康でない状態であれば、卵管の一方を切除しても次回の妊娠で反対側の卵管に再度子宮外妊娠が発生する可能性があるため、注意深く観察する必要があります。
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